草薙悠弥、ざっくり畑を耕す

悠久ノ風 外伝
草薙悠弥てけとーに畑を耕す

草薙悠弥、ざっくり畑を耕す

「じゃあ~やるか~」

草薙悠弥は畑にいた。

今日は休みだ。草薙がそう決めた。

ざっくり事情を説明すると草薙悠弥はある年配に日本人の家で
ころころしていた。寝ながら鼻とかほじってた。


そこで草薙悠弥、畑を耕して欲しいと頼まれたのである。

草薙に頼んだのは年配の日本人である。

その年配の日本人は困っていた。
年で畑を耕すのがしんどいのだという。

――そうかしんどいか、じゃあ俺がやるか。

そういう事で草薙は畑を耕す。
ざっくりこんな感じである。
年配の日本人がいうには、綺麗にやる必要はないとの事だ。
土を軟らかくしてくれれば、後はこちらで綺麗にしておくとの
事だ。

(俺は耕せばいいって事だな)
草薙は自分向きの仕事だと思った。

(ざっくりやるの、けっこう好き)

農具を持つ。
草薙が農具を振り上げた。

「ふんっ」

草薙が農具を振り下ろした。

ガツっ。

農具が土にめり込んだ。
メリッと土から音がなる。

「っ」

草薙は更に力を入れる。
メリャっと土が抉れる音がした。
土がめくれた。

一つ土を耕した。

(固いな)

土が固い、草薙はそう感じた。
草薙に頼んだ日本人が、耕すのがしんどいといった理由はわかる。
それなりに広い。そしてそれなりに固い。
これを年配の日本人がやるのはしんどいだろう。

(確かにこれは俺がやった方がいいな)

草薙は再び、農具を振り上げた。

「っ」

草薙は再び、農具を振り下ろす。

ガッ

土が抉れる。
力を入れる。
メキィっと土から音がなる。
土をひっくり返す。
一つ土を耕した。

草薙は再び、農具を振り上げた。

「っ」

草薙は再び、農具を振り下ろす。

ガッ

土が抉れる。
力を入れる。
メキィっと土から音がなる。
土をひっくり返す。
一つ土を耕す。

草薙は再び、農具を振り上げた。

「っ」

草薙は再び、農具を振り下ろす。

ガッ

土が抉れる。
力を入れる。
メキィっと土から音がなる。
土をひっくり返す。

一つ土を耕した。

草薙は再び、農具を振り上げた。

「っ」

草薙は再び、農具を振り下ろす。

ガッ

土が抉れる。
力を入れる。
メキィっと土から音がなる。
土をひっくり返す。

一つ土を耕した。

草薙は何度かそれを繰り返す。

単純な反復作業。

「――それもまた良し」

草薙は畑を耕す。

「ふ~~」

一つうねが出来た。

「まぁ、こんなもんか」

アバウトな出来である。
決して綺麗なうねではない。

ただそれでもちょっとした達成感があった。

うねを作ってくれともいっていた。
ただそんな作らなくてもいいといわれた。
土を柔らかくしてくれたら嬉しいといわれている。
方向性がいまいちわからない。多分、お願いした本人もわかってないのかもしれない。
ざっくり土を耕してくれとの事である。

「うむ」

草薙は再び腕を動かした。

土を抉る。

作業をしているのは草薙だけだ。
特に気にしない。

ただ黙々と土を抉り、畑を耕す。

「よしっ」

ひとうねできた。
草薙は再び土をいじる。
畑を耕す。

日本の土を、畑を耕す。

(日本の食料自給率の向上にも繋がる。
超微量だが)

草薙は耕した。

「よっこらせーーーー」

土を抉った。
「オラは耕すどーーーーー」


土を抉った。

繰り返す。単純作業を繰り返す。

「耕すどーーー」
ちょっぴり楽しくなってきた。

ひとうね、作る。

「もうひとがんばり」

草薙は畑仕事に従事する。

オラ耕したど。

草薙は耕した畑をみた。

といってもいわれた範囲は狭い範囲なのでそう大した量ではない。
だが中々の満足感だった。

だが中途半端。うねらしきものがあるがなんというか不恰好だった。

うねを作るのか、耕すのか曖昧なお願いだった。それゆえか草薙が作ったうねの作りも曖昧だった。とゆうかうねといっていいのかすら怪しい。

(ふむ……)

お願いの内容は土を柔らかくして欲しいというものだった。
草薙は思う。土が固い事もあって、これを年配の人がやるのは少々きついだろう。
ここは自分が作ったうねらしきものを残す事はあまり考えず耕した方がいいだろう。
土を柔らかくしておけば、年配の人でも土をいじって綺麗なうねなりなんなりを作る事ができる。
もちろん、草薙はもう少し働く必要はあるが。

それもまた良し

草薙はまた畑を耕した

耕したど。

草薙は畑をみた。

まぁこんなもんだろ。

ざっくり耕した。
ざっくりである。
アバウトである。

ただこれでいいだろうとも思った。

きつい力仕事は終わった。
これで年配の人でも簡単に整理できる。

 

「おーーーーーー」

(おっと丁度やってきた)
草薙は年配の日本人に報告した。

「ほわあぁーーーやってくれたなぁーーー」

畑をみて年配の日本人、大層喜ぶ。

「ざっくりだけどいいか?」
草薙が聞いた。
「よおやってくれたーーー!
ありがとう」
年配の日本人、かなり喜んだ。

「よかったよかった」
なによりである。

「これをやるの大変やったやろ?」

「けっこう大変でござった」

草薙はいった。

「一通り終わってなによりっす」


ともあれ、草薙は畑を耕した。
日本人は喜んでいた。

「うむ」

草薙は思う。
結構頑張った。
今日は色々ざっくり過ごした。
とりあえず色気とかはない。
まぁ――

「それもまた良し」

草薙悠弥、畑をざっくり耕す。