77話

悠久ノ風 第77話

77話 



「オオオオオオォォ!!」
幾多の仲間を踏みつぶし、魔の群れは天に至っていた。
震える天、崩壊する大地。

空前絶後のカタストロフィ。

進撃する魔軍は何体もの魔族を挽き潰ししてはしる。

さながら地獄の進撃だった。

「「「オオオオオオオオオォォォォ!!」」」

狂乱する万魔軍。
空が震える地が揺れる。

万魔死行。
全国から集結する魔の行軍は空前絶後。
今や草薙が座す中枢に向かって駆ける魔天を満たす魔族。

「なんだあれはぁぁぁぁ」

「ありえねぇ! なんだあの数」

「え、えらいことじゃ……」
「せ、戦争やぁ……ホンマもんの戦争やぁぁ!!」

「ででも、よぉ」
「あいつら、俺らの事みてねぇ」
「さっきまで襲ってきたのに……みんな向こうにいきやがる」
「た、助かるかもしれねぇ!
「い、いまのうちだ」
「に、にげろ、にげろおおぉぉ」

民達が生存への希望を見いだす。

北条によって多くの民に避難プランが伝達されていた
混乱の中、民達が命を拾っていく。
それは微かな、だが確かな希望だった。

「さぁ、大詰めじゃああああああ!!」

北条時継が叫ぶ。

「みよ!北条武士どもよ! 
我らのはじまりを!
我らの戦いを!
あれぞ我らが誇り! 
北条の戦いはあの神風を起こすためにあると知れ!」

「ウオオオオオオオォォォ!!!」
「日本万歳!」
「神風万歳!」

北条の檄は精強なる鎌倉武士団に響き渡る。

「ハハハハハハハハ!
やったなぁ!
本当にやっておるなぁ草薙よおおぉぉ!!」

猛っていた昂ぶっていた。
幾多の民を守り、多くの血を浴び、多くの友を失った。
戦いすぎて既に正常な感性を失っているのかもしれない。
このまま死んでも構わないといわんばかりの高揚。
だがそれも人間だ。

そして――北条だ

「討て! 国敵を!
撃ち放て! 神風を!
虚神の神ノ風!
北条時継がしかと見届ける!!」