74話

悠久ノ風 第74話

74話 



数多の強者が草薙悠弥の声を聞いていた。

「くっ……くはは……」

――国敵討滅。
風守から数百キロ離れた地。

だが日本全土に響く、国敵討滅の声は魔人ガンドウにも
響きわたった。

「は、ははははははははははははは」

鏖殺の任を帯びていた。
警察機構の人間は殺した。

後は民間人をなぶり殺すだけだった。

だが――

「こんな事やってるばあいじゃねえぞおおおぉぉ!!」

動き出す。大量の血を浴びながらもガンドウは動き出す。
殺し駆けていた民間人の存在など綺麗さっぱり忘却していた。
コアから流れ出すダメージによって血が噴き出す。
血を吹き出しながらも魔人は笑う。

あまりにも異な光景

空を覆うほどの魔軍が一つの所に集結している

「集まってやがるぅ……何万もよぉ」

ガンドウが弾けたように笑い出した。

「ギャハハハハハハ!!
オイオイオイオイィィィ!!
なんだよオイこれはぁっ!?
狂ってるにもほどがあるだろうがよおおぉぉ!?」

ガンドウは狂笑する。

「虚神イイイィィィ!!
てめぇ最高だぜえぇぇぇ!!」

虚神の復活を祝うように。

「最高の馬鹿野郎だぜええぇぇぇぇ!!」

必ず殺すと誓うように。

「祭りだろおおおがあああああぁぁ!!」

今宵最大最強の虐殺の瞬間を見据える。


全員あの外道を滅しなさい。

リュシオンの天使は激しく、彼方を睨んだ。

生かしてはおけない。あの虚神は。
傷が痛む痛む。
あの時久世零生にやられた傷が痛むのだ。

軌道制圧正常。
出撃準備。
出撃準備。

空を駆ける白光。

「あの光を……墜とせぇぇぇぇぇぇ!!」

リュシオンが吼える。

「はっハハハハハハハハハハ!!」

数多の魔人が見ていた。

「おもしれぇ! やっぱおもしろすぎるぜ!
なんだよあれはありえねぇ!ありねねぇ! やりすぎだろう常識で考えてよおおぉ!」

発想が違う叡智が違う狂気にかける想いの丈が違いすぎる。
凡俗と隔絶した在り方は正しく狂いし虚ろの神。

「さぁ見せろぉぉぉ! 何年も何年も待ったんだ! 邪魔はしねぇさ見届けてやるよ」

狂気のアークナイトが満天に腕を広げ、高らかに謳いあげた。

「さぁお前の神理を見せてみろ、虚神ィィィィィ!!!」